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柳井紙工株式会社
山口県熊毛郡平生町横割584

http://www.package-yanai.co.jp

製菓市場の縮小に混沌とするパッケージ業界

製菓専門のパッケージメーカー柳井紙工株式会社は、歴代の経営トップの方針もあり、多角的にあれこれと手を出すのではなく製菓に特化してきたことで安定的に業績を伸ばしてきた。
ところがここ数年は製菓市場そのものが縮小傾向にありパッケージの需要も少なくなっている。加えて、競合他社も高いクオリティの製品をつくる技術を持ち始めたことで、業界全体に価格競争の嵐が吹き荒れているという。
商品開発部部長の斉郷隆氏は次のように話す。「ティラミスやナタデ・ココ、パンナ・コッタなどが大ブームとなった1990年代が近年最後の製菓パッケージの隆盛期でした。ところが、スイーツブームが下火になるに連れ、ここ5年くらいは混沌とした状態が続いています」。

パッケージの大革命"トムソン箱"の開発

製菓のパッケージを専門的に製造する会社は全国でも5、6社ほど。
こうした中で、頭ひとつ飛び抜けるためには、従来のパッケージとは一線を画すアイディアが必要となる。柳井紙工は会社の歴史の中で数々のエポックメーキングなパッケージを世に送り出してきた。その最高傑作が"トムソン箱"だ。昔のケーキ箱は化粧箱として完成しているものしかなく、クリスマスシーズンともなれば洋菓子店にはケーキ箱があふれていた。これを各店舗で必要な時に必要なだけ組み立てることができるよう"箱の展開図"にしたのがトムソン箱で、これはまさしく製菓業界をも変える大革命だった。
「トムソン箱が普及し始めたのが東京オリンピック前後です。それまでの日本人はお菓子といえば和菓子でしたが、オリンピックを境に洋菓子の需要が著しく増えたことでパッケージも大きく様変わりしました」と話すのは営業本部長の有田英之氏。この大発明が柳井紙工を日本のパッケージ業界のトップランナーへと押し上げることになった。

製菓パッケージは日本の文化を反映している

実はバレンタインの製菓パッケージを全国展開させたのも柳井紙工がパイオニアである。1970年代、「商品を売りたければ文化を作れ」と製菓業界が団結して日本にバレンタインデーが定着。ここにいち早く目をつけたのがトムソン箱の成功で勢いに乗っていた柳井紙工だった。トムソン箱同様、柳井紙工のバレンタインデー用パッケージは飛ぶように売れた。ところが、小学校で"義理チョコ"ブームが社会的な問題となって以来、バレンタインデー用のパッケージ生産はひと頃の勢いはないと言う。とはいえ、バレンタインデーのパッケージは柳井紙工の"季節の柱"であり、毎年さまざまなデザインが生み出されている。
「バレンタインであれクリスマスであれ、製菓のパッケージは日本の文化を反映しているともいえます。最近ならハロウィンがありますが、ハロウィンだからといってお菓子が売れるわけではない。したがって我々の尺度からすれば、ハロウィンはまだ日本の文化として根付いていないと言えます」と斉郷氏は言う。

製菓パッケージに特化してきた柳井紙工の強み

柳井紙工は全国に8つの営業所を構えている。それ以外に、パッケージの原材料や加工メーカーなど、さまざまな協力会社が100社以上あり全国ネットワークが構築されている。まさしくこれは柳井紙工の財産と言えるだろう。ここを上手く機能させればクライアントにいち早く新しい提案を行うことができる。したがって、新しい着眼点とそれを後押しする時代の機運さえあれば、柳井紙工はさらなるジャイアント・ステップを踏み出すことも夢ではない。ただしここ近年は、残念ながらそれを100%有効活用できる機会は少ないと言う。
一方、事業のもう1つの柱となる既製品パッケージの販売が概ね順調であるため経営は安定している。柳井紙工のホームページには、季節のパッケージをはじめ、さまざまなテーマ別に楽しく美しいパッケージが紹介されている。しかもこれらは社内のデザイナーによって常時更新され、オリジナルにこだわらなくともクオリティの高いパッケージを選ぶことができる。このあたりが製菓パッケージに特化してきた柳井紙工の事業の奥行きの深さと言えるだろう。

情報化時代の世代間ギャップが課題

クリスマスを色で表現するなら誰でも思いつくのが赤か緑だろう。しかしそれでは差別化にならない。そこに"ひと味"を加味することがデザイナーに求められるスキルだ。「ただ、パッケージデザインでは、感覚的なスキルの他に実務的なスキルも必要です。つまり、平面で考えているデザインとパッケージのように立体的に着地させるデザインとでは考え方が違います。若いデザイナーが学校で習ってくるのはほとんどが平面のデザインであるため経験を重ねることが必要です」と斉郷氏は話す。
製造部門についてはもう少し深刻な課題があると製造部部長代理の重本典雄氏は言う。「私たちの時代は仕事は見て覚えるものという気風がありましたが、ある頃から全部教えてあげなさいとなった。ところが今は、インターネットで調べればその答えが出てくる時代です。となると、当然上司と部下のコミュニケーションがとれなくなってくる。ここは頭が痛い部分でもあります」と。これはまさしく、多くの企業が抱える情報化社会における世代間ギャップであり、柳井紙工もその渦中にあって解決策は暗中模索だ。

会社説明会には100人を超す学生が

人材に対する大小の課題はあるものの、柳井紙工の入社会社説明会には100人を越す学生が集まると言う。ただしその9割が女性。会社の思惑とはいささか異なる部分があったが、昨年も営業職で複数名の男女を採用したところ、女性の働きぶりや有能さに有田氏は舌を巻いている。「われわれ採用する側、指導する側も考え方を改める部分があるのかも知れませんね。もしかすると、人材に対する固定概念を変えることが、当社が更なる成長を遂げてゆくポイントになるのかも知れない。今はそう実感しています」。
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■記事公開日:2017/04/24 ■記事取材日: 2017/02/27 *記事内容は取材当日の情報です
▼構成=編集部 ▼文=編集部ライター・吉村高廣 ▼撮影=吉村高廣・写真提供=柳井紙工

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