マーケティング・ランチボックス #3

消費者だけがお客様ではない

道行く女性に愛想よく割引券を配っている美容院のスタッフ。仕事の性質上、女性をメイン顧客としているのでしょうが、男性には目が合っても割引券を配ろうとしません。実はこの段階で『顧客獲得の機会』を失っているとも考えられます。

男性自身が自分で使おうという気はならないにしても、持って帰れば家族が喜ぶかもしれません。そのことがきっかけで新たな固定客の開発につながるかも知れません。

もちろん、お金をかけて準備した販促物は、利用する可能性のあるターゲットに直接届けたいという思いがあるのでしょう。しかし「ご家族の方にどうぞ」「ご友人の方にどうぞ」の一言を添えて渡すことで、『目に見える顧客予備軍』にアプローチするだけではなく、口コミという機能を働かせ、『その先の顧客』を獲得できる可能性が生まれます。

似たようなケースは他にもあります。「自分は店のスタッフじゃないから」と、客が食事をしているそばで乱雑な仕事をする飲食店への出入り業者。会社が同じビルに入っていて、しょっちゅう顔を合わせながら、我関せずと挨拶すらしないビジネスパーソンなど。

自分に直接評価を下し、目先の利益となる人にのみ興味を示し、その先にいる『ひょっとしたら顧客になり得る存在』のことが視野に入っていないことが多いのです。

すぐにお金を落としてくれる消費者だけがお客様ではありません。売れるビジネスパーソン、成功しているビジネスモデルというのは、必ずこの視点を備えています。そしてまた、こうした考え方自体が、『マーケティング的発想力』と言うことができるのです。
Yuki Akama
赤間裕樹
株式会社マップス
マーケティング・スタッフ
1982年東京都青梅市生まれ。早稲田大学教育学部を卒業後、 株式会社マップスに入社。
各種企業へのマーケティング・プランニング支援、中小メーカーの営業体制構築支援、不動産の新事業立案などのほか、
マーケティング勉強会・交流会を主催し、成果を「企業診断ニュース」 に掲載。
オフィスを借りたい・移転したい インターネットで簡単検索 e-miki.com
■記事公開日:2013/07/25
▼編集部=構成 ▼清野裕司・吉村高廣=監修 ▼赤間裕樹=文 ▼写真=アマナイメージズ

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