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Vol.10「酒飲み」へのエール! お酒との"上手な付き合い方"


かつては「酒はサラリーマンのガソリン」などと言う時代があったほど。今なお、それに近い距離感でお酒と向き合う方も少なくないと思います。一度飲み始めるとつい飲みすぎてしまう。量はさほどではないけれど、毎日飲まないと気が済まない。人それぞれに色んな飲み方があると思います。いずれにしてもビジネスパーソンは、お酒との向き合い方もしっかりマネジメントしたいもの。上手に使いこなせば良きパートナーとなるのは、部下もお酒も同じです。そこで今回は、労働衛生コンサルタントで精神科医の重盛憲司先生に、お酒との"上手な付き合い方"を教えていただきました。
Q.

酒にまつわる"言い伝え"はホント?

『"ちゃんぽん"は悪酔いする』
これは明らかな都市伝説。間違いです。悪酔いするかしないかで問題なのは、どれだけ飲んだか。つまり、アルコールの"摂取量"です。ちゃんぽんする人というのは、あれも飲みたい、これも飲みたいで、結果的に量をたくさん飲んでいる。つまり"酒好き"なのです。したがって、たくさんの種類を飲めば自ずとアルコール摂取量も増えてどんどん酔いがまわってゆく。これは必然の成り行きとお考えください。
悪酔いは"ちゃんぽん"ではなく、
摂取量が多いことが要因
『飲酒はストレス解消になる』
アルコールには筋弛緩効果があるので身体的にリラックスできます。また、心理面でもストレスの原因となっている前頭葉の働き=不安を麻痺させてくれます。このほか、快感を得るという働きもあり、飲酒はストレス解消(正しくはストレスの緩和)になります。
ただし、この働きに頼りきっている人が思いのほか少なくありません。飲酒の目的がストレス解消になると、やがて"アルコール依存"につながる危険があるので適量を守るよう注意してください。
適度な飲酒は身体をリラックスさせ、
ストレス解消にもなる
『ワインや日本酒は悪酔いする』
ワインや日本酒などの醸造酒にはアルコール以外の夾雑物(アミノ酸類、糖類、アルデヒド類)が蒸留酒(ウイスキー、焼酎)より多く含まれていて、コクやうまみが増します。このアルコールに似た構造を持つ物質が作用して"酔いが複雑"になり、頭や体に影響を与えるので悪酔いや二日酔いの原因になるのです。


『仲間と飲む酒は残らないが一人酒は良くない』
仲間と楽しく飲むのはおおいにけっこう。でも、飲みすぎては本末転倒です。過度のアルコール摂取は確実に明日のあなたを苦しめることになるでしょう。
ただ一方で、人間関係を円滑にしたり、みんなで楽しむためにお酒をツールとして使うのではなく、悪いことを忘れたり、不安を払拭するためだけにアルコールを摂取することが目的になってしまうのは本質的に「悪い酒」です。夜遅く帰宅して、一人でお酒を飲みながら酔いがまわるのを待つようなこと、皆さんにはありませんか?言うなれば「一人酒は悪い酒になりがち」そう覚えておいてください。
現実逃避を目的としない
Q.

二日酔いにならない適正量は?

飲酒の適正量は、ビール500ccを2杯、日本酒なら2合の「40グラム」と考えておくのが良いでしょう。
体重や年齢にもよりますが、だいたいの目安として20グラムのアルコールを3時間で代謝することができます。40グラムなら6時間を要します。したがって、23時まで飲んでいても40グラムなら出勤前までにはアルコールが抜けるので「適正量」と考えることができます。
「たったそれだけ?」という酒飲みも多いと思いますが、日本酒を3合(60グラム)飲んだ場合、23時に飲み終えたとしても、翌朝8時までアルコールが残ってしまいます。「一晩寝たから大丈夫」というのは間違いで、適正量を超えて飲んでしまえば、目が覚めても「酒気帯び」の状態。もちろん運転は厳禁です。

適正量はビール500ccを2杯、
日本酒なら2合の「40g」が目安
Q.

適正量に個人差はありますか?

あります。年齢、体重、性別、また普段の飲酒量によっても変わってきます。高齢になるとアルコールの代謝能力が低下し酔いやすくなりますし、体重の多い人ほど血液量が多く、血中アルコール濃度によって酔いの状態が変わるので体重の多い人はお酒に強いといえます。
適正量には男女差もあり女性は約半分といわれます。女性は男性より肝臓の大きさも小さいからです。また、女性ホルモンにはアルコールの分解を抑える作用があり、その影響で代謝のスピードが遅くなります。
高知県の大酒飲み大会には女性もたくさん参加していますが、それは例外。代謝というのはアルコールを分解する工場が体内にあるようなものです。女性の場合は工場が小さく分解量も少ないわけですが、長年飲み続けていることで設備が整って代謝スピードが上がり、お酒が強くなることも、ままあるのです。

Q.

水を一緒に飲めば悪酔いしない?

アルコールには利尿作用があり脱水を招きやすくなります。同時に、血中アルコールの影響で血管が膨張して頭痛の原因にもなり、お酒がまわりやすくなります。水を一緒に飲めば吸収されるアルコールを薄めることができ、血中アルコール濃度の急上昇も抑えられ、悪酔いや二日酔い対策になります。また飲酒のペースを落とすことができるので《酒+水》が良いとされています。

水を飲みながらお酒を飲めば、
ペースを落とすことができる

Point労働衛生コンサルタント・精神科医 重盛憲司先生からの
メッセージ

公益社団法人アルコール健康医学協会が提唱している「適正飲酒の10か条」というものがあります。
談笑しながら楽しく飲む。食べながら適正範囲でゆっくり飲む。強い酒は薄めて飲む。週2の休肝日。長い飲み続けはダメ...などの提唱項目を設けていますが、なかでも特に働き盛りのビジネスパーソンの皆さんに、心がけていただきたいのが、「ペースを落す」ということです。「談笑し」「食べながら」「薄めて」というのは、すべてお酒を飲むペースを遅くするという意味だと思ってください。多忙なビジネスパーソンでも、40グラムのアルコールを摂取するなら、1時間以上時間をかけるのが理想的です。
また、飲む前に甘いものを食べると、血糖値が上がり渇望が抑制されて「お酒を飲みたい」という気持ちが抑えられます。酒飲みは、一杯目を美味しく飲みたいために、空きっ腹で飲み始めますが、健康のためにはこれはよくありません。お酒の前には、"甘いものとお茶"がオススメです。

取材協力:三軒茶屋神経科・心療内科クリニック
東京都世田谷区太子堂4-27-11 ウィンベルフクモト2F
http://www.mental-clinic.jp/sancha/doctor/
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■記事公開日:2019/01/29 ■記事取材日: 2018/12/21 *記事内容は取材当日の情報です
▼構成=編集部 ▼文=矢島こん ▼イラストレーション=吉田たつちか

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