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働く男の健康ライフ

Vol.8解消!メタボにまつわる"誤解"のあれこれ


厚生労働省の調査によると、成人男性の肥満率は31.3%で、そのうち40代、50代の割合が群を抜いて高くなっています。これに比例して、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の発症数も毎年右肩上がりで、中高年の健康状態は深刻です。頭の片隅では「どうにかしなきゃ」と考えているメタボリックシンドローム。「なぜ中高年になるとお腹が出てくるのか」を知り、正しい対策を考えたいと思います。そこで以前「夏太り対策」でご指導いただいたクラブユニバース西国分寺の管理栄養士・上杉理恵さんにお聞きしました。
Q.

そもそもメタボリックシンドロームは病気ですか?

ここは判断が難しいところです。言葉自体を紐解けば「メタボ=肥満」と「シンドローム=症候群」で『肥満症候群』ということになります。症候群ですので、幾つかの理由が重なり合って肥満になる状態を示しているわけですが、ここで問題となるのは、肥満を病気と考えるか否かです。これは専門家の間でも常に意見は分かれます。

しかし、こうした曖昧さがメタボを放置する原因になって、中高年の生活習慣病が増えているのも事実です。そこで、あえて申し上げるなら「メタボはあらゆる病気の初期症状」と認識して、適切な食習慣を身につけていただくことが何より肝心。まずそれを冒頭にお伝えしておきます。

■簡単!肥満度セルフチェック
【腹囲径を測る】
よく言われることですのでご存じの方も多いと思いますが、最も分かり易いメタボの基準はお腹まわりの周囲径を測ることです。おへその高さの腹囲が、男性の場合85㎝、女性の場合90㎝を超えていたら要注意。これに加えて、高血圧、高血糖、脂質代謝異常のうち2つに当てはまるとメタボと診断されます。

【BMIを算出する】
肥満を計る物差しにBMI(ボディ・マス・インデックス)の基準値があります。これは体重と身長のバランスから肥満度を計測するもの。以下の計算式にご自分の体重と身長を当てはめて計算してみてください。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

《算出例/身長1.75m・体重75kgの場合》
〈75÷1.75÷1.75=24.489〉したがって、BMIは24.489となります。18.5~24.9が標準値で、25以上が肥満、18.5未満がやせ形と判定するため、このケースはぎりぎり正常値の範囲であることが分かります。もし皆さんの数値が標準値の25よりも高い場合は明らかに肥満気味で、生活習慣病リスクが高くなります。まずは食生活を見直して自己管理に努める必要があります。
Q.

大食漢でなくてもメタボになりますか?

なります。メタボが疑われる方の多くの原因は、筋肉量に反比例した食事量の多さです。よく、若い頃から大して食べないし、食事の量も変わらない。にもかかわらず「なぜだか最近お腹が出てきた」という中高年の方がいらっしゃいますがそれは当然のことです。そこで、大きな原因をタイプ別に3つ挙げます。

【基礎代謝低下タイプ】
端的に言えば運動不足です。人間は加齢と共に筋肉量の低下に伴い消費エネルギー量も低下します。つまり、昔と同じ量を食べているのに、最近お腹が出てきた...というのは、基礎代謝量の低下が原因です。体重の増減は消費エネルギー量と摂取エネルギー量の差で生まれます。したがって、同じ量を食べたいのなら、忙しさを理由にせず運動習慣を心がけて、筋肉量を増やして基礎代謝量を上げる必要があります。

【血糖値急上昇タイプ】
食習慣が乱れている方に該当するタイプです。たとえば、朝食を抜く方や、忙しさにかまけて昼食を抜く方などです。食事の間隔があくと、次の食事の際に食後血糖値が急上昇して脂肪を溜め込む原因になります。カラダは順応性が非常に高く、必要としているエネルギーが足りないと、生命を維持するために最大限のエネルギーを摂取しようとします。つまり空腹はメタボの最大の敵。上手に間食を挟みましょう。

【飲酒カロリー過多タイプ】
飲酒はカロリーが無意識に蓄積されてゆく大きな原因になります。350mlの缶ビールが約140キロカロリー。3本飲めば420キロカロリーです。体重70㎏の方がこれを消費しようと思えば、時速7㎞の速さで約5.5㎞走ることが必要。これにおつまみのカロリーがプラスされることも忘れてはなりません。晩酌をされる方は、油ものや味の濃いものは避け、極力、豆腐や野菜中心のおつまみとしたいものです。

Q.

どれだけ食べても運動すれば大丈夫ですか?

これはよく受ける質問ですが、先にも記した通り、飲食から摂取したエネルギー量を運動で消費するのは並大抵ではありません。飲み食いすれば、それだけの運動量が必要になるため、それを多忙なビジネスパーソンに求めるのは、あまり現実的とは言えません。まして、飲酒後や深夜の運動は心臓に負担がかかるため厳禁です。運動を心がけるなら、通勤時にひと駅分多く歩いてみたり、エレベーターやエスカレーターを使用せず階段を歩くなど、毎日の生活の中で実践できるアプローチが良いでしょう。

また空腹時の運動もおススメできません。体内のエネルギーが欠乏すると、カラダは筋肉を分解してエネルギーをつくります。筋肉量を維持増進するための運動なのに、これでは本末転倒です。運動をする場合は、2時間前までに食事を終えるか、消化の良いゼリーやドリンクタイプの飲料でエネルギーを補ってから運動することをおススメします。ただし、週に1回程度の運動では、どれだけカラダを追い込んでもあまり効果は期待できません。運動も食事も習慣的な取り組みが肝心です。

Q.

メタボになったら食事は制限されますか?

そう思われがちですし、そのように指導される管理栄養士の方も少なくありません。なぜならメタボの改善策は「痩せる」ことが第一で、そのためには食事制限(食生活の抜本的な見直し)を行うことが一番の近道だからです。しかし現実には「これを食べれば絶対に痩せる!」というものはありません。したがって「これを食べては絶対ダメ!」というものもない。それが私の指導方針です。肝心なのは"限度"です。好きなものを無制限に食べていれば状況は悪くなるばかりです。医師の診断を仰がずとも、先に紹介した危険数値にある方は、確実に生活習慣病にまっしぐらと考えて間違いありません。

食生活を考える上で大事なことは「あれもダメ」「これもダメ」ではなく、上手に調整しながら「好きなものを食べられる期間」をできるだけ長引かせることです。ただそのためには、多少の我慢は必要です。仮にメタボになったとしても、揚げ物だってお酒だって大丈夫です。しかし冒頭にも記した通り、メタボというのは「病気の初期症状」であることに変わりありません。一旦、生活習慣病になってしまえば、厳しい食事制限は必須です。そうならないためにも、節度を持って食事と向き合うことが何より大切です。

Q.

中高年が心がけたいメタボ回避の食習慣は?

まず何より、1日3食必ず食べる。食間があいたら間食する。これを習慣にしてください。血糖値の上昇を緩やかにするためにも、極度の空腹時をつくらないことが基本です。その上で、1日に自分がどれくらいのカロリーを摂取しているか敏感になっていただきたいと思います。一般的には成人男性の1日の摂取カロリー量は約2000キロカロリーと言われています。しかし、それを厳密に守る必要はありません。というより、これを厳守するのは、鉄の意志を持ってよほど規則正しい生活をしないと難しいと思います。繰り返しになりますが、大事なことは"節度"と"調整"です。好物だからといってドカ食いはしない。食べ過ぎたなと思ったら翌日はセーブする。そんな足し算、引き算を習慣づけてください。

具体的にどんなものを食べれば良いか。これにも決まりはありません。あえて言うなら、主食・主菜・副菜がしっかり摂れる和食の定食がおススメです。逆に、かつ丼や天丼などの丼ものは、意識して副菜を摂る必要がありますし、早食いになる傾向があるため、ある程度の我慢が必要。とはいえもちろん、食べてはいけないわけではありません。ここでもやはり"節度"と"調整"を心がけて、毎日の食事を楽しんでください。

Point管理栄養士 上杉理恵さんからの
メッセージ

人のカラダは食べたものでつくられます。そして、人が生きる上で食事は最も楽しい習慣です。でも、食べるものや食べ方によって、カラダのつくられ方は良くも悪くも変わります。そのネガティブな面の最たるものが「メタボリックシンドローム」と言えるでしょう。だからこそ、正しい食習慣が大事なのです。食べたいものを食べ続けられることは、人間にとって一番の幸せです。それでなくともストレス世代と言われる皆さんです。そんな皆さんにとって「食べる楽しみ」を奪われないようにすることは、公私にわたって大きな意味があるはずです。近年は「食の改革」といったことが言われますが、そこまで大げさに考える必要はありません。少しの我慢、ちょっとした心がけで「食べる楽しみ」は保てるはずです。

取材協力:クラブユニバース西国分寺
東京都国分寺市泉町3-35-1 西国分寺レガビル4F
http://www.clubuniverse.jp/
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■記事公開日:2018/06/20 ■記事取材日: 2018/05/09 *記事内容は取材当日の情報です
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼イラストレーション=吉田たつちか ▼取材協力=クラブユニバース西国分寺

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