働く男の健康ライフ 働く男の健康ライフ

働く男の健康ライフ

ご相談者:天野勇さん(仮名)/50歳/飲食店経営
今回お話しくださったドクター:東京医科大学八王子医療センター 循環器内科・科長 小林裕先生です。


健康診断で再検査を言い渡された天野さん。血中のCKという数値が高いそうです。

少々出始めたお腹を気にしてスポーツジムに通い始めた天野さん。今では筋トレにハマっているそうです。すっかり健康志向の毎日を送っていたはずなのに、健康診断の血液検査の結果を見て「血清中のCK(クレアチンキナーゼ)の数値が高すぎます」と循環器内科を訪ねるよう紹介状を渡されました。どうやら心筋梗塞の疑いがあるようです...。
*CK(クレアチンキナーゼ)/心筋や骨格筋、平滑筋などに含まれている酵素の一種。筋肉細胞におけるエネルギーの代謝に関連した重要なはたらきをします。
Q.

仕事柄、お酒も飲みますし、以前は不摂生もしていました。
今はほぼ毎日ジムに通ってますし、タバコもやめています。
なのになぜ健康診断で悪い結果が出たのでしょう?

A.

まず最初に申し上げておきますが、天野さんは心筋梗塞ではありません。中には、ごくまれに小さな梗塞を起こしてもやり過ごしている方もいらっしゃいます。そうしたものは心電図を見れば分かるのですがその形跡も認められませんでした。ではなぜCKの数値が高くなったのか。これは筋トレの影響です。確かに心筋梗塞とCKの数値は関連しますが、そもそもCKは筋肉から出る物質で、激しく筋肉運動を行えば誰でも数値は上がります。したがって健康診断前日も筋トレをガンガンやっていた天野さんの場合は理由がはっきりしています。

Q.

心筋梗塞ではなかったとは、ひと安心。
ここのところ心筋梗塞や狭心症の話題が出ていたので、
心配していたところだったんです。

A.

心筋梗塞も狭心症の多くの原因は動脈硬化です。心臓のまわりには冠動脈があり、動脈硬化を起こすとそこにプラークと呼ばれる"しこり"ができます。それが破けて様々な老廃物が流れ出し、血栓ができて起こるのが心筋梗塞です。狭心症というはプラークによって冠動脈が狭くなり血液が流れにくくなる病です。狭心症の場合は普通に生活している限り苦しくありません。ところが冠動脈が75%以上詰まってくると、階段を上がったり、走ったりすると息切れを起こします。したがって、こうした症状が顕著な方は早めに医師の診断を受けて相応の治療をすべきでしょう。ただ心筋梗塞には予兆がなく、いきなり激しい胸の痛みに襲われます。

Q.

ある日いきなり激しい胸の痛みに襲われる...
どのような人がそうした状況になりやすいのでしょうか?

A.

心筋梗塞の5大要因は、高血圧、糖尿病がある人、コレステロール値が高い人、タバコを吸う人、そして家族歴です。よく「胸が痛いんです」と言って駆け込んで来る方もいらっしゃいますが、精神的な問題が胸の痛みにつながっているケースが多いようです。心臓神経症という病名もあり、実際に検査をしてみると何でもないという場合もあります。本当に心筋梗塞を起こされた方は痛みに我慢できずほとんどの場合救急車で運ばれてきます。
また、胸が痛いと言っても正確には胸が痛くなるばかりが心筋梗塞の症状ではありません。胸が痛くて同時に肩も痛い。みぞおちのあたりに激痛が走る。奥歯が痛くて首を絞めつけられるような感じがする。こうした症状の方が結果的には心筋梗塞だったというケースも少なくありません。

心筋梗塞というと中年以上の男性に多いと考えられがちですが、実際にはそうではありません。確かに女性ホルモンには動脈硬化を抑える機能があるため、30代、40代の女性が心筋梗塞を起こすリスクは高くありません。ただし閉経後は男性と同じように右肩上がりで、5大要因が多ければ多いほど動脈硬化を原因とした心筋梗塞や狭心症を引き起こすリスクが高くなります。したがって、男性、女性を問わず、ある年齢を過ぎたら、日ごろの食生活を気遣い、軽い運動を行うなど、日常的な生活習慣の見直しが大事です。
小林先生からのワンポイント・アドバイス
動脈硬化を指摘されて薬を出してコントロールするようにアドバイスをされていても、途中で勝手に薬をやめてしまったり病院から足が遠のいてしまう方も少なくありません。大きな症状が出なければ大丈夫だろうという勝手な思い込みはデメリットでしかありません。医師の指導を守り、自分の体や病気としっかり向き合うことが改善に向けた早道です。
・東京医科大学八王子医療センター ・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/
・東京医科大学八王子医療センター 循環器内科・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/division/d05.html

・監修:東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科・・・
http://www.hachioji.tokyo-med.neurosurg.jp/

*記事内のご相談者はコンテンツ表現上でご出演いただいております。ご相談者の実際の病気、症例とは異なります。
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■記事公開日:2015/01/15
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼編集部・渡部恒雄,吉村高廣=撮影

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