大人の趣味活 大人の趣味活

大人の趣味活

中高年のビジネスマンに"無趣味"な人が増えているそうです。この企画はそうした方々に、生涯楽しめる"なにか"を見つけていただこうというもの。
キープレスの無趣味なライターが体当たりでチャレンジする年4回のシリーズです。

VOL.3 プラモデル  究極の自己満足を、ぜひあなたも!

昭和30年代、40年代生まれの方(主に男性)にとって、子どもの頃の身近な趣味といえば「プラモデル」ではないでしょうか。思い返せば私自身、戦車や戦艦などの軍事ものを好んで購入していたように記憶しています。
にもかかわらず、なぜ、趣味として続かなかったのか...それは成功体験がないからです。手先が不器用な私は、水転写シールの貼り付けが大の苦手で、仕上がりはひどいモノでした。そうした"下手の横好き"にケリをつけ、プラモデルの魅力を再発見しようと、プラモデルの製作会に参加してみました。

お邪魔したのは、東京都新宿区に店舗を構える「模型ファクトリー」さんが主催する製作会。ご指導くださる女性プロモデラーのオオゴシトモエ先生と、店長の国末紅太郎さんに、まず、最近のプラモデル事情からお聞きしました。

ひと口にプラモデルと言っても、ここ数年は私たちが子どもの頃とは随分様子が変わってきているようです。何より驚いたのは、今のプラモデルは接着剤を一切使わずにパーツを組み上げてゆくものが登場しているのだとか。
また、プラモデルファンのメイン層は30代後半から50代前半。いわゆる「ガンプラ世代」と言われる方々で、売り上げの業界シェアを見ても、なんと!約8割がガンプラで、残り2割が自動車やバイクなど、いわゆる私たちが子どもの頃手にしたスケールプラモデルなのだそうです。

「子ども時代の原体験を反映しているのがプラモデルなのです」と話すオオゴシ先生。現在のプラモデル業界をけん引しているのは「機動戦士ガンダム」に夢中になった中高年で、それが徐々に高齢化しつつあるのが現状だとか。
つまり、プラモデルは既に、立派な"大人の趣味"になっているとおっしゃいます。


一通りお話しを伺い、「じゃあ、今日は何をつくろう」ということになり売り場に移動。オオゴシ先生が勧めてくださったのはお話にあったガンプラでした。しかしながらガンダムを知らない私は食指が動かず、どうしても戦車や戦艦、自動車などに目が行ってしまいます。「いいんです。つくってみたいものを選ぶのがプラモデルの楽しみでもあるわけですから」と優しくおっしゃってくださるのですが、こうしたスケールプラモデルは接着剤が必要。製作の工程も手間がかかる部分が多く、時間内につくり遂げる自信がありません。
思案を続ける私のもとに、国末店長が「これも接着剤がいらないタイプで、BB-8だけならいけるはず」と勧めてくれたのがスター・ウォーズシリーズの「BB-8&R2-D2」のキット。BB-8は「フォースの覚醒」に登場した人気ロボットで私も大好きなキャラクター。「これにします!」と即決しました。


さて、いよいよ実作。いろんな道具を使うのだろうと思いきや、必要なのはパーツを切り離すためのニッパーだけ。後は設計図通りに組み立ててゆけばよいのです。とはいえこのキット、組み上がるとシールを貼ったり着色したりせずとも、ほぼ完璧にBB-8を再現できるという優れモノ。ただその分だけ、細かく色分けされたパーツの数が多くなっていて、それらを根気よく切り離しては組み合わせてゆきます。ところが不思議と集中力が途切れません。その理由は、徐々にカタチが見えてくるからです。ビギナーにとって、この「カタチが見えてくる」というのはちょっとした感動ですし醍醐味です。「プラモデルってこんなに楽しかったんだ!」と、BB-8の頭部を仕上げた頃には、既に"ハマる"予感がありました。

順調に進んでいた製作でしたが突如トラブルが発生。設計図通り進めてきたはずなのに、パーツが上手く組み合いません。先生に応援を求めるとトラブルは即解決。問題はキットからパーツを切り離す際、わずかな切り残しがあったためパーツ同士がピッタリ合わなかったことが原因でした。実はここが接着剤を使わないキャラクタープラモデルづくりの、基本にして最も大事なポイントなのだそうです。

繰り返しになりますが、キャラクタープラモデルの再現性は目を見張るものがあります。ただ、それを実現させるためには、1つ1つのパーツがきれいに整っていることが条件です。つまり、しっかり準備していればパッケージと寸分たがわぬ模型が完成するけれど、少しでも手を抜いて準備を疎かにすれば、必ずどこかで歪みが出てくる。こんなところにも日本メーカーならではの細部にわたる完成度の追及が感じられ、ただただ感心するばかり。世界中の人が虜になるのも大いにうなずけます。


さて、今回参加したプラモデルの製作会には、初めて参加する方が私を含めて3名。他の顔ぶれはいかにも"常連さん"といった方々で、思い思いの作品づくりに取り組んでいるという、いわば「プラモデル同好会」といった印象でした。オオゴシ先生は「この集いは、テクニックだけを教えるプラモデル教室ではないんです」とおっしゃいます。皆さん日ごろは自宅でつくっていて、疑問に思ったことを解決する場として利用したり、同じ趣味を持つ者同士、情報交換をしながら"場の雰囲気"を楽しむサロンとして利用されているそうです。
また時折、私のように数十年ぶりにプラモデルに触れるビギナーも訪れます。そうした方々にはプラモデルを一緒に選ぶことからスタートして、所々でアドバイスを挟みながら完成させて、達成感や成功体験を味わっていただくことがこの製作会の主旨だそうです。

「プラモデルというのは孤独な趣味と思われがちです。事実、そうした部分もありますが、それだけでは行き詰ってしまいます。抽象化して言うならば、ギターを始めた人が一生懸命練習して上達すれば、いずれはバンドを組みたくなるように、その受け皿となるのがこうした製作会なのです」。

製作を開始して約2時間(製作会自体は3時間)。紆余曲折ありながらも、先生からのアドバイスを頂きつつ、私の「BB-8」が完成しました。
作品自体は手のひらに乗るほどの小さなものですが、プラモデルをつくって初めて達成感を味わいました。当然人には、器用・不器用の差があるわけで、その差によって作品の出来・不出来が決まるものと考えていましたが、今のプラモデルは、誰でもかなり高い完成度で仕上げることができ、"究極の自己満足"を提供してくれます。また、そこでの成功体験が次の作品を手に取る"動機"になる。私にとってもこの「BB-8」は、プラモデルをこれからの趣味とする良い動機になりました。

体験を終えて

後日談になりますが、このキットにはもう一体「R2-D2」が同梱されています。それを自宅でつくったところ、右足が上手くはまらず残念な姿に。とはいえ今回の体験で、プラモデルの楽しさを再発見することができました。先生のアドバイスあっての賜物に違いありませんが、今回の結果はひとつの成功体験だと思っています。そして次はどんなキットをつくろうかとワクワクしています。(編集部ライター吉村高廣)

オオゴシトモエから

長いブランクがある方や、初めてつくるという方には、モノづくりに親しむという意味で、接着剤を必要としないプラモデルは最適だと思います。そこで手応えを得たら、ステップアップを目指せるさまざまなタイプのものが揃っているのもプラモデルの魅力です。また、子どもの頃は上手につくれなかったという方でも、今は便利な道具がいろいろあります。そうした意味でも、現在のプラモデルはかなりハードルが低くなっています。中高年からでも遅くありません。ぜひ一度、手に取っていただきたいと思います。

取材ご協力

模型ファクトリー

〒124-0013 東京都新宿区新宿3-1-26 新宿マルイ アネックス7階
TEL:03-6457-7735 HP:http://mokei-factory.com/

製作指導

オオゴシトモエさん
HP:http://www.054taste.jp/

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■記事公開日:2018/08/17 ■記事取材日: 2018/07/24 *記事内容は取材当日の情報です
▼監修・構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼撮影=田尻光久 ▼体験者=吉村高廣

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