着眼・最前線 着眼・最前線

着眼・最前線

音楽を愛する人のサポーターに徹する、プロフェッショナルの流儀。

エンターテイメントな音楽ビジネスにおける着眼点とは。
ヴォーカルトレーナー小島恵理さんに聞きました。

天職と出会いゼロからの再出発

初めて音楽を仕事として捉えたのは、芸能プロダクションに入りシンガーソングライターとしてのデビューでした。ところが仕事と言えばバラエティ番組など音楽とはほど遠く、自分の良さを活かすことができず、やりたいことができない環境にありました。
本当は音楽をやりたかったはずなのに、いつのまにか目指す場所とは程遠いところに立っている...人は環境に慣れると、最初の目標を忘れてしまうものですね。 私も3年間頑張りましたが「これではいけない」と思い、ご縁のあった方からのお声がけもあって音楽教室のヴォーカルトレーナーとしてゼロから再出発したのです。

人は環境に慣れると、最初の目的を忘れてしまう 小島恵理
天職と出会いゼロからの再出発

一つの歯車として機能する喜び

小島恵理とピアノ ヴォーカルトレーナーとして生徒さんを教えながら、シンガーのバックコーラスとしてステージに立つ機会が多くあります。トレーナーの時は生徒さんと向かい合っているのですが、シンガーのコーラスにつくときは、当然、シンガーの背中を見ているわけです。シンガーの背中は、思いのほか実に多くのことを物語っていることに気づいたんです。今日は体調がいいのか悪いのか、どういう気持ちで歌っているのかも手に取るように分かるようになってきました。
杏里さんなどは長くやらせていただいているので、ステージが始まってから前に出てきて欲しいのか、それとも後ろで歌っていて欲しいのか。そうしたことも察知でき、急遽リハーサルにはなかったステージングになる場合もあります。また角松敏生さんは自らアレンジをされますが、忙しいときなど「この曲のコーラスアレンジお願い」と任せていただけるようになり、改めてシンガーを支える1つの歯車としての喜びを感じるようになりました。
小島恵理インタビュー中 肝心なのは、どこにプロ意識を感じるか 小島恵理

自分の立ち位置を理解していたい

50歳を過ぎて一流ミュージシャンに混じってコーラスサポートをしている人はあまりいません。それだけにツアーなどバンド単位で動くときは、バンドを優しく見守る「「お母さん」的に頼られることがあるんです(笑)。そういうこともあって、何をするにしても俯瞰で見るように努めています。とりあえず周りを見て、自分は最後にものを言うという感じです。
とはいえ、周りの方々はみな日本でも屈指の素晴らしいミュージシャンの方々ばかりなので、自分の立ち位置を間違えてはいけません。自分はあくまでもサポーターであるということを認識して、場を和ませることに徹しています。ただ「何か違うな」と思ったときは「NO」といえる自分でいたいとは常に思っています。
「NO」の言い方は難しいですね。他意はなくとも、ちょっとしたトラブルのもとになってしまうことが少なくありません。別にこれはバンドの中のことだけじゃなく、どんな組織においても同じことではないでしょうか。「NO」にも愛を込めて・・・それが人間関係における基本的なホスピタリティだと私は思います。
自分の立ち位置を理解していたいイメージ NOと言うときに、人はホスピタリティを問われる 小島恵理

転び方と立ち上がり方が大事

若い頃はガツガツしているので、思ったことをストレートに言っていました。おそらく歌い方もそうだったんだと思います。しかしながら年齢を重ねてくると、楽しいことや辛いこと、幾つものフィルターを通すことによって、成熟した言葉や歌を発信できるようになったのではないかと思っています。
もちろん若いうちの勢いは大事です。その勢いが上手く波に乗ればしめたものだし、仮に失敗したとしても、若いうちなら大抵のことは許されます。自分のキャパシティを知っていく、冒険したいからつまずきながらそのキャパシティをひろげていく。それが自信、そしてどんな困難にも立ち向かえる免疫力に繋がると思います。
この免疫力がないうちは大胆なトライより堅実な1歩を。そして、その時々での己の器を知ることだと思います。
これは音楽ビジネスでも芸能活動でも、プライベートな生活でも、次の一歩に繋がる大事な着眼点だと思っています。 免疫力がないのなら、大胆なことはすべきでない 小島恵理
転び方と立ち上がり方が大事イメージ
小島恵理著
左「ボーカルスパイス」ヤマハミュージックメディア
右「美声度アップVOCAL エクササイズ」リットーミュージック
編集後記
視野の広い人である。年齢を重ねていますから...と謙遜されるが、どうもそれだけではなさそうだ。僭越ながら分析させていただくと、やっぱりエンターテイナーなのである。サービス精神があり、目配り、気配りに長けた人なのだ。それは、あらゆる仕事に役立つ能力。大いに納得し、学ぶべき言葉が多々あった。(取材・文:吉村高廣)
小島恵理ライブイメージ

小島恵理ライブ出演情報

■2014年2月1日 Warm up your heart ジョイントライブ @四谷Doppo
■2014年4月3日 Jazzeal withBARAKA at 六本木スイートベイジル
■小島恵理WEBサイト
■ジャジール(Vo小島恵理)WEBサイト
※写真は自身のオリジナルバンド「ジャジール」

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■記事公開日:2013/12/24
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼田尻光久=撮影 ▼撮影協力=小島恵理自宅

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