シリーズ清野裕司の談話室Vol.2 シリーズ清野裕司の談話室Vol.2

シリーズ清野裕司の談話室Vol.2

第6回 ビジネスに求められる拙速の心がけ

じっくり時間をかけて完成度の高い仕事をするのが「巧遅(こうち)」。
その対極にあるのが、粗が目立つもののスピーディーに仕事を仕上げる「拙速(せっそく)」。
現在のビジネス環境において求められるのは圧倒的に後者です。完成度が高いに越したことはありませんが、そこにこだわる余り、
動き出しが遅くなれば、ビジネスチャンスを逃してしまう場合もあります。
今回は、ビジネスのトレンドスキル「拙速」の心がけについて考えます。

100%の質を求めるより、早く完成させること

仕事の質は、そこにどれだけの時間を費やしたかで決まる。高度経済成長以来、長らく"美徳"とされてきた日本のビジネスパーソンのスタンスです。
一方、老若男女の垣根を越えたコミュニケーションツールFacebook。その創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏の仕事に向かうスタンスは、「Done is better than perfect(完璧を目指すより、まずは終わらせろ)」というものだそうです。業種や立場によって賛否が分かれるところでしょうが、個人的にはザッカーバーグ氏のスタンスに「いいね!」です。

私なりの言い方に置き換えると、ビジネスパーソンに求められる心がけは、「考えすぎる"巧遅"よりも、まずはやってみる"拙速"」というものになります。その理由は、ビジネスの速さが問われる今は、時間が経てば条件や状況がより厳しいものへと変化してゆくからです。良いビジネスアイディアを思いついたとしても、その実現を他者に先を越されてしまえばアイディア自体の価値が半減します。したがって、完璧でなくとも早く完成させて提案し、そこからブラッシュアップしていく方が優位に立てる時代なのです。

考え抜いたものが必ずしも正解であるとは限らない

次に繋がるベターを出し続けることが必要

管理職クラスの方の中には、「拙速」という言葉に良い印象を持たれない方もいらっしゃると思います。「中途半端な仕事はせずに、とことん考え抜いてきちんとしたものを提案するべき」と考えるのは確かに道理と言えるでしょう。
しかしながら"とことん考え抜いたもの"が必ずしも正解であるとは限りません。どれだけ時間をかけても、相手の反応が悪ければ方向性の修正が必要になります。いうなれば、「いち早く相手の反応を知り、いち早くその対応策を考える」、これがビジネスを成功に導く鍵になります。

私は、「拙速」の繰り返しこそが仕事の本質だと考えています。商品も、売れなくなったら諦めて終売してしまうわけではありません。何度でも改良して、あの手この手で再び世に出そうと試みます。そうした営みは、時代の変化に応じて絶えずカタチを変えて適応し続けるチャレンジでもあります。つまりビジネスとは、今のベストを出して終わりではなく、次に繋がるベターを出し続けることが必要なのです。

ビジネスのゴールを阻害する部分最適の弊害

ビジネスにおける「巧遅」の問題点は、部分最適の追及に偏りがちになることです。繰り返しになりますが、「とことん考え抜いてきちんとしたものを提案する姿勢」これは決して悪いことではありません。問題なのは、そこにどれだけの時間をかけるかです。仕事は皆が一つの目的に向かって協働し、全体最適を目指すべきものですが、往々にして「自分の仕事が一番大事」と考える人が少なくありません。結果、そこに時間をかける余りに、次の作業をする人の時間が削られてしまう。これでは良い成果は挙げられません。

これは、弱いサッカーチームに似ています。自分のところにボールが来れば「いいところ見せてやろう」と必死になってプレーをするけれど、ボールをパスした後は我関せずでフォローにまわることもない。個々の選手だけ見ていれば頑張っているように見えますが、これではチームが勝てません。一方、常勝チームは個々のプレーがスピーディーです。一人ひとりの選手が試合を俯瞰しながら、自分の役割を素早くこなし次の選手に繋いでゆく。そのスピードがゴールのチャンスを生むのです。これはビジネスも同じです。

清野裕司のmarketing eye

"即提案、即修正。拙速の繰り返しこそが仕事の本質である"

Yuji Seino
清野裕司


1947年生まれ。1970年慶應義塾大学商学部卒業マーケティングを専攻 。商社、メーカーにてマーケティングを担当し、1981年(株)マップスを創設。現在、同社の代表取締役。マーケティング戦略の立案、商品・店舗の開発支援、営業体制の整備、ブランド開発、スタッフ養成の研修まで、業種業界を超えたマーケティング・プランナーとして、2500種類のプロジェクト実績。

株式会社マップス ホームページ:http://www.mapscom.co.jp

オフィスを借りたい・移転したい インターネットで簡単検索 e-miki.com
■記事公開日:2018/03/08
▼構成=編集部 ▼文=清野裕司 ▼写真=フリー素材

過去の記事

ココロが動いた!秀逸コピー
〈4〉
内脂サポート 40歳を過ぎたころ、腹の肉をつかみながら「この贅肉を筋肉に... 2019.11.13更新
若手のための
“自己キャリア”〈9〉
〈9〉
アンストラクチャー ラグビーワールドカップ日本大会が終わって、巷では「ラグビー・ロス」... 2019.11.11更新
企業見聞
〈21〉
半導体から宇宙開発事業 産業を支えるエネルギーの担い手 C型小惑星「Ryugu」から試料石の持ち帰りを目的とした「はやぶさ2」... 2019.10.28更新
領国経営
影の実力者たち〈7〉
〈7〉
新発想・新技術によって幕府を支え、大きく社会貢献した傑物 藤堂高虎 若き日の高虎は"転職"を繰り返したため... 2019.10.24更新
シリーズ
清野裕司の談話室〈12〉
〈12〉
問題発見型の"ソリューション眼"を持つ 近年、企業の課題を解決するソリューションビジネスが... 2019.10.08更新
偉人たちの言葉
〈4〉
西郷隆盛の人事 「部下の気持ちを理解したい」という中間管理職にとって... 2019.09.24更新
ビジネスパーソンに必要な資格
〈3〉
キャラ付け資格・検定 自分の強みやスキルを客観的な評価で示して... 2019.09.20更新
リアル・ビジネス
英会話〈13〉
〈13〉
Could you make it 15,000 dollars? 価格交渉のシチュエーション ビジネスには価格交渉が必須です。営業職なら「ここが生命線」という... 2019.09.13更新
働く男の健康ライフ
〈12〉
御社は大丈夫? 管理職のメンタル不調 ストレス社会と言われる現在、メンタルの不調を訴える... 2019.09.11更新
エリア特集
〈21〉
魅力は職住近接!劇的な変貌を遂げる 千葉駅周辺エリア 千葉市は千葉県のほぼ中央部にあたり、東京都心部まで約40kmの... 2019.08.28更新
若手のための
“自己キャリア”〈8〉
〈8〉
集中力 事務所近くのコーヒーショップで、資料を広げて... 2019.08.08更新
ココロが動いた!秀逸コピー
〈3〉
夏のうなぎ 子どものころ、うなぎの骨がのどに刺さって往生したことがあります... 2019.08.01更新

バックナンバー※2018.02.21 現在

文字サイズ