若手のための“自己キャリア”

#2 著作権を知ろう

仕事のルールでありマナーでもある

昨年、日本音楽著作権協会(JASRAC)が民間の音楽教室からも著作権料を徴収する
ことを発表して話題になりました。これに対して音楽教室の団体は猛反発。しかし裁判所は、音楽教室で演奏する楽曲に対しても著作権料を支払う義務があると裁定し、今後は音楽教室の授業料値上げが懸念されています。
この問題の論点は、子供たちが音楽に親しむ"学びの場"などでも、生徒や先生が楽曲演奏する場合は著作権法の「演奏権」が及ぶか否かというもの。JASRACの著作権料
徴収の発表以来、ここを焦点に喧々諤々の議論が繰り返されてきたわけです。さて、皆さんはこの裁定をどうお考えになるでしょう。
賛否両論あるでしょうが、この問題で明らかになったことは、いかなる理由があろうとも著作権というルールを無視してビジネスは行えないということです。もちろんそれは、音楽に限ったことではありません。

インターネットは、誰でも手軽に情報を得ることができます。しかもそれらは多岐に渡り、多くの場合が無料です。スピード化が言われる現在のビジネスシーンにおいて、ネット検索はもはやビジネスに欠かせない情報収集の手段となっています。
ただし、ここで注意したいのがネットで得た情報の扱い方です。
ネット上の情報は「転用も自由である」という認識の方が少なくありません。
しかし、一旦世に出た表現物(文章や写真等)にはほとんどの場合「著作権が発生する」と考えて間違いありません。ここを無視して「バレないだろう」と安易な気持ちで転用すると、それが発覚した場合、大問題に発展する場合があります。
2016年の大手IT企業が運営する医療系「まとめサイト」の休止はその最たる例と言えるでしょう。

自社でホームページを作成したり、パンフレットやチラシを作成する場合に大変便利なのが、ネット上にある「フリー素材」と呼ばれるものです。様々な作家の写真やイラストが簡単に、しかも無料でダウンロードできるため活用されている方も少なくないと思います。
こうした時に注意したいのが「著作権フリー」、あるいは「ロイヤリティフリー」と明記されている場合でも、「どのような使い方をしても良い」というわけではないということ。
著作権に該当しない範囲や使用条件が定められているケースがほとんどです。 一例を挙げると、「ブログや新聞記事への使用は可能だが広告や販促物などへの使用は不可」、「あらゆる媒体に使用可能だが広告や販促物に使用する際にはクレジットを入れること」などの明示があります。したがって、「フリー素材」と謳われている場合でも、そのサイトの利用規約には必ず目を通すことが大事です。

POINT

著作権侵害に対する意識の薄さを、インターネットの普及によって情報収集が容易になったことを理由に挙げる人がいますが、それはきっかけに過ぎません。分からないことを素早く調べる。この点においてインターネットは便利な道具です。しかし、与えられた仕事を要領よく終わらせる道具としてインターネットに頼ってはいけません。1つの文章。1枚の写真。それらは、そこに作家性のあるなしは別として、その人なりにテーマに挑んだ結晶です。その努力と権利を保護しているのが著作権です。著作権を意識すること。これは仕事におけるルールであり、ビジネスパーソンとしてのマナーでもあると留意してください。

ビジネスライター 吉村高廣の視点

高度な技術分野の取材準備や原稿を書く場合、専門性が高く理解に苦しむ言葉に出会います。そうした時はネット検索をして言葉の意味を調べるわけですが、1つの解説では納得できず、2つ3つと解説に目を通してゆくと解説内容が微妙に異なる場合があります。こうした時は、今自分が抱えている課題に対して相応しいと思われる解説を選択し、それを自分なりに解釈することが求められます。そうした手間をスルーすると、取材も原稿も的外れなものとなってしまいます。著作権を無視した転用は、道義的な問題以外にそれと同じ事態を招きかねません。良い仕事をするためには、情報分析に時間をかけることが大切です。

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■記事公開日:2018/03/16
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼写真=フリー素材

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