若手のための“自己キャリア”

#1 言葉の断捨離

こう書く!読まれるビジネス文章

2010年の流行語大賞にもノミネートされ話題になった『断拾離(だんしゃり)』。これは、クラターコンサルタントのやましたひでこさんが提唱された"日常的な片づけを通して自分の心も整理する行動技術"です。この言葉の登場によって、多くの人が掃除に目覚め不用品の片づけに勤しみました。
しかし、やましたさんがご自身の書籍やメディアでおっしゃっていたのは、なんでもかんでも捨てればいいというのではなく、自分の生活に相応しいモノをいかに取捨選択するか。そしてそれを実践するには"モノを見極める訓練"が必要であるということでした。
実はこの考え方は、若手ビジネスパーソンのスキルアップにも大いに参考になるのです。

仕事をする上で欠かせないビジネス文書の作成。会議資料や報告書といった内部的なものから、ニュースリリースや企画書などの対外的なものまでその種類はさまざまですが、「伝えたいことが上手く伝えられない」と苦手意識を持つ方が少なくありません。
「伝わらない文章」には特徴があります。それは、?まとまりがない、?まわりくどい、の2点。いずれも"言葉数の多さ"が原因です。特に、自分の文章に自信がない人は、それを補足するように異なる事例を挙げて説明したり、同じことを書き連ねる傾向があります。結果、必要以上に言葉数が多く分かりにくい文章になってしまうのです。これを改善するために、私がコピーライター時代に学んだ実践的な文章作法『3STEP文章術』をご紹介します。

STEP①

まず"伝えたいポイント"を箇条書きで列挙します。ここで留意したいのは、説明調の長文にならぬよう端的な言葉でポイントだけを書き連ねることです。
次いで、要・不要を考えながら"伝えるべきポイント"を3項目ほどに絞り込みます。この時点で、端的に書き記したポイントに肉付けをして、雑誌や新聞などの小見出し風に仕上げます。参考例として、今年発売の犬型AIロボットのニュースリリースの小見出しを紹介します。
1.つい目を奪われてしまう可愛いらしさと、表情豊かで躍動感ある動き
2.オーナーに近づき、寄り添う。互いにふれあう中で生まれる楽しみと驚き
3.時を重ねて変化し続け、醸成される関係性。唯一無二のパートナー
ニュースリリースのみならずどのような文書でも、最初に訴求すべきポイントを絞り込み、小見出し風にすみ分けておけば、本文は格段に書きやすくなり、文書全体にまとまり感が生まれます。

STEP②

ビジネス文書は敬体(です・ます調)が基本と言われますが、最初は、常体(だ・である調)で書き通してください。長文を書く時は、常体の方が文章のリズムをつくりやすく、書きやすいとされています。一方、最初から敬体で書き連ねてゆき「です。ます。」で終わるショートセンテンスが続くと、稚拙な印象を与え兼ねません。

STEP③

最後に全体を見直して"言葉の断捨離"を行います。推敲のポイントは次の通りです。
POINT1.一つの文中に複数の内容が入っている場合は、接続詞のあるところを目安に分割。
POINT2.「今の現状は?」や、「約10分ほどの?」といった、短い言葉の中にある重複語を削除。
POINT3.常体から敬体へと文体を直す。(文脈上「です・ます」が続き違和感がある場合は、常体を混在させても構いません)

POINT

伝わりやすいビジネス文書の作成で最も肝心なのは、STEP1の箇条書き時のポイント選びです。上記で事例として挙げたニュースリリースには価格情報が入っていません。実際の販売価格は20万円近い高価なものですが、メーカーが伝えたい情報プライオリティは価格ではなく、製品の魅力を如実に物語る「デザイン、搭載技術、学習性」の3点に他なりません。ここを履き違えて超現実的な価格を出せば「唯一無二のパートナー」は「高価なパートナー」に変わってしまいます。『断捨離』の概念同様、ビジネスシーンにおいても"大事な言葉(情報)を見極めて取捨選択する訓練"はビジネスのスキルアップにつながります。

ビジネスライター 吉村高廣の視点

会話では多少言葉足らずでも、こちらの意図を相手が汲み取ってくれることが期待できます。ところが文章で伝える場合はそうはいきません。伝えるべきことが明確に記されていないと、肝心な部分が伝わらないばかりか、誤解を招くことにもなり兼ねません。その反面、長々と記されたビジネス文書は多くの場合敬遠されます。そこで、ぜひ実践していただきたいのが、今回ご紹介した『3STEP文章術』です。これは文書作成のスキルアップを図るとともに、物事を論理的に考える訓練にもなります。ビジネス文書の作成時のみならず、ビジネスメールを書く時などにも応用して、文章力を仕事の武器にしてください。

■記事公開日:2018/01/11
▼構成=編集部 ▼文=吉村高廣 ▼写真=フリー素材

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