働く男の健康ライフ 働く男の健康ライフ

働く男の健康ライフ

宮崎正人さん(仮名/52歳/工作機械メーカー営業職)。就寝後に尿意を感じて必ず目覚めてしまい、ひと晩で2、3回おトイレにいくこともあるんです。


前立腺癌が頭をよぎった宮崎さん。そこでネットで症状を調べるとまさしくそのもの。不安いっぱいで泌尿器科を訪ねました。
Q.

この1年ほどは朝まで
熟睡できることがありません。
必ず1度は尿意で目覚めるんです。

A.

働き盛りの方にとってそれはお辛いですよね。50歳を過ぎてくれば明け方に1度くらいはおトイレに立つ方も少なくありませんが、2度3度となると、やはり前立腺に何らかの問題があると考えられます。
宮崎さんは前立腺癌の可能性をご心配されているということですので、まずPSA検査を行いましょう。PSAは、主に前立腺から血液中に分泌されるタンパク質の一種です。50代の方なら分泌量3ng/mL〜4ng/mL以下が標準値とされていますが、前立腺に問題があれば分泌量は多くなります。前立腺癌では高めに出やすいことから初期検査に使います。今日は血液を採りますので1週間後にまたいらしてください。

Q.

検査結果を考えると
仕事も手につきませんでした。
今日は覚悟を決めて来ました。

A.

ますます眠れなくなってしまいましたね(笑)。でもご安心ください。検査の結果、宮崎さんのPSAは3.2ng/mL。今のところ前立腺癌の心配はないと考えて良いでしょう。しかし気をつけていただきたいのは食生活です。宮崎さんはファストフードなども好んで食べるということでしたが、欧米型の食生活を続けていると前立腺癌を発症する危険性も高くなります。事実、今回の血液検査では中性脂肪や血糖値に高い数値が認められています。今の症状は前立腺肥大症に過活動膀胱も合併していると考えられますが、その原因もおそらく食生活の偏りが影響しているものと考えられます。

Q.

過活動膀胱は、
テレビで宣伝していますね。
女性の病気じゃないんですか?

A.

過活動膀胱は中高年の女性によくみられますが、もちろん男性にも起こります。初期の前立腺肥大症は1回以上の夜間頻尿から始まることが多いです。これに加えて宮崎さんは、日中でも急に尿意が起こる場合があるとおっしゃいました。こうした尿意切迫感があり頻尿を伴う症状が過活動膀胱の特徴です。過活動膀胱の場合、まだ膀胱に十分尿が貯まっていないのに膀胱が勝手に収縮してしまうので、すぐに排尿したくなってトイレに行く、つまり頻尿になるわけです。そしてまた、前立腺肥大症の患者さんの50〜70%が過活動膀胱を合併すると言われています。これらの症状はお薬によって軽減されるはずですので、しばらく様子を見てください。

前立腺肥大症についてお話しくださったドクターは、東京医科大学八王子医療センター宍戸俊英先生です。
宍戸先生からのワンポイント・アドバイス
働き盛りの年代で、夜間2度以上おトイレに行き明らかに睡眠障害(疲れが取れない、日中ボンヤリする等)が起きていると自覚している方、排尿時の勢いが弱い方、ひとまず、この2つの症状が当てはまる方は泌尿器科に足を運び受診され、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の改善に努めることをお勧めします。この数年間で前立腺肥大症や過活動膀胱に有効な治療薬がいくつも出てきておりQOLの改善が可能かもしれません。
なお、欧米では40代で前立腺癌を視野に入れたPSA検査が当たり前になっていますが、日本では50歳未満でのPSA検査は保険適応上のしばりがあるため、そうした慣習がまだありません。しかし50代を越えたらぜひ1度PSA検査を受けてください。仮に前立腺癌が見つかったとしても、早期発見できればその後の生活に悪影響を及ぼす確率は低くなります。
・東京医科大学八王子医療センター ・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/
・東京医科大学八王子医療センター 泌尿器科・・・
http://hachioji.tokyo-med.ac.jp/division/d24.html

・監修:東京医科大学八王子医療センター 脳神経外科・・・
http://www.hachioji.tokyo-med.neurosurg.jp/

*記事内のご相談者はコンテンツ表現上でご出演いただいております。ご相談者の実際の病気、症例とは異なります。
■記事公開日:2015/12/01
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼編集部・吉村高廣=撮影 ▼伊東ぢゅん子=相談者イラスト

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