着眼・最前線 着眼・最前線

着眼・最前線

異なる価値観を活かし、創造的な成果へと人の力を導いていく。 異なる価値観を活かし、創造的な成果へと人の力を導いていく。

会議やプロジェクトを促進するリーダーに求められる着眼点とは。
有限会社 ビーネイチャー代表 森 雅浩さんに聞く

ファシリテーションの役割と背景

いろんな価値観を持った人が協働しながら、創造的な成果(商品やサービス)を生み出すこと。それが今の企業に求められる課題です。そこには、意見の対立や、当事者意識の希薄さといったネガティブな要素が存在することが多々あります。そのネガティブな要素を問題として扱うのではなく、逆に資源として捉え「創造的な成果」を導き出そうというのがファシリテーションの技術です。
今、この手法を学ぼうというビジネスパーソンが増えています。これには「分業化の成熟」と「変化の早さ」という社会的背景があります。かつては、強烈なリーダーシップを持った人の号令一つで皆がついて行く傾向にありました。しかし社会が発展して価値観が多様化し、変化の早い現代においてはリーダーといえども正解を持っているとは限らないし、それほど簡単に物事が進まなくなっています。
スペシャリストの知恵と力を統合して、しかも一人ひとりが当事者意識を持って仕事に関わり、 より良い成果を世の中に送り出すことが何より大事。そのためには誰かの決めた「正解」に従って行動するのではなく、自分たち考えた「最適な答え」を生み出すことが必要。自分たちで考えた答えには当然ながら当事者意識が強まります。その結果モチベーションも高まり,最終的には競争力の向上につながるのです。
ファシリテーションの役割と背景
『価値観が多様化した現在、単純な正解を見つけにくくなっている』---  森 雅浩 『価値観が多様化した現在、単純な正解を見つけにくくなっている』---  森 雅浩

会議で求められるリーダーの力量

高度成長期以降、日本の企業は長らく、明確なヒエラルキーが存在するピラミッド型の組織形態の中で上意下達の情報経路が当たり前のものでした。ところがここ近年は、インターネットの発達もあり、フラットな情報の伝播が当たり前のものとなりつつあります。同時に現場の情報も重要視され、リーダーシップの在り方が改めて問われています。
会議においてもそれは同様です。話し合いが全く活性化しない、あるいは、まるでまとまりがなく、いつまで経っても結論が出ない。こうした会議をどう上手く進行し、創造的な成果につなげていくのかも、リーダーに求められる大切な技量です。 異なる立場や価値観を持つ人たちに対して、質問によって意見を引き出したり、合意に向けて論点を整理しながら、メンバーのモチベーションを高めたりするには、主体的な意見の交換と発想を促すファシリテーションの技術が不可欠です。その力を身に付けるべく、多くのビジネスパーソンが私たちの『ファシリテーション講座』の門を叩くのです。
会議で求められるリーダーの力量
『主体的な意見交換を促すにはファシリテーション技術が不可欠』---  森 雅浩 『主体的な意見交換を促すにはファシリテーション技術が不可欠』---  森 雅浩

自然体験からビジネスフィールドへ

そもそもビーネイチャーは、都市生活者が『自然とのつながり』を実感するためのプログラムを提供することが事業起点となっています。自然と触れ合う機会の少ない大人たちが、自然から学び、気づきを得るための場です。そして、その運営を行う上で用いたのがファシリテーションの技術だったのです。
たとえば、自然を案内するにしても、自分の知識をひけらかすような講師の話は退屈です。一方的に何かを発信するのではなく、参加者が主体的に気づきを得られるようナビゲートしてくれる人の存在、つまりファシリテーションの技術を備えたナチュラリストの存在が欠かせない。これが私たち自身の出発点でもありました。
したがって、ビーネイチャーが行っている『ファシリテーション講座』は、表面的な効率化や生産性の向上を促すファシリテーター(リーダー)の育成とは異なります。
「一人ひとりが存在として自然である」というコンセプトを共有し、本当の意味での当事者意識や自発性を促すこと。これを大切にし、そのための知恵と技術をお伝えしています。この重要性はビジネスの場面でも、自然体験の場でも同じです。
自然体験からビジネスフィールドへ 『都市生活者の自然体験もファシリテーションでサポートする』---  森 雅浩 『都市生活者の自然体験もファシリテーションでサポートする』---  森 雅浩

ファシリテーションは相手への信頼で機能する

ファシリテーションは必ず成功するのか、という問いに答えるならば、成功するかどうかはわからないが、効果は必ずある、と言うことができるでしょう。では効果が出ないとするならばなぜか。その理由は、ファシリテーター(リーダー)となる人は、人に対する絶対的な信頼を持たないとファシリテーションは成立しないからです。
「こいつはダメだな」とか「何も考えていないな」と思った途端に、ファシリテーションのスキルは機能不全となってしまいます。むしろ悪循環を招くことにもなりかねません。 会議であっても、プロジェクトの推進であっても、ファシリテーターは、「みんな考えているし、何かしらの意見を持っているはずだ。この場にいる限り、何かしらの貢献をしたいはずだ」という認識を持って、人と向き合うことが肝心です。
逆説的に言うならば、そうしたマインドを持った時点でファシリテーションの半分は成功と言えるでしょう。その前提の上でファシリテーションの技術を会議やプロジェクトに活用すれば、それまで硬直していた空気や時間の流れは、大きく改善されることは間違いありません。
ファシリテーションは相手への信頼で機能する 『人を信頼してこそ、ファシリテーションは機能する』---  森 雅浩 『人を信頼してこそ、ファシリテーションは機能する』---  森 雅浩
編集後記
自分と違う価値観を持った人の意見をどこまで受け入れることができるか。これは多くのビジネスパーソンが直面する問題だと思います。ともすれば物別れに終わりがちな関係に、ファシリテーションという技術を取り込むことで会議が円滑に進行するという。大変興味深いお話しでした。(編集部ライター・吉村高廣)

取材協力:有限会社 ビーネイチャー
東京都渋谷区松濤1-29-1 CROSSROADSビル6階
TEL:03-6416-4081
URL:http://www.be-nature.jp
■記事公開日:2013/08/08
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼渡部恒雄=撮影 ▼写真・資料提供=有限会社ビーネイチャー

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