フォトギャラリー 日本の季・七十二候 #3

夏の風物詩の一つに、渦巻き型の蚊取り線香があります。寝しなに「ぶーん」と耳元を襲う蚊の高い羽音はうんざり。ならば蚊は駆除してしまいましょう、と蚊取り線香に火をつけます。

この蚊取り線香はもともと除虫菊などの天然植物を材料にして作られていたようですが、最近では化学薬品が主成分となっているようです。害虫駆除の殺虫剤として市販されています。

ところが、昭和初期の頃までは蚊を駆除するという発想ではなく、蚊を追い払う「蚊遣り(かやり)」という言葉が生きていました。昭和四十年代頃までは「蚊帳(かや)」もありました。蚊は駆除される害虫ではなく、人と一緒に暮らす生き物として受け入れていたように思えます。

蚊を題材とした句も多く残っています。「わが宿は蚊の小さきを馳走なり/松尾芭蕉」「古井戸や蚊に飛ぶ魚の音闇(くら)し/与謝蕪村」「夕空や蚊が鳴きだしてうつくしき/小林一茶」・・・暮らしぶりが垣間見られるような、気持ちがほっこりする句の中に、今では憎き蚊が登場しています。

八月初旬は暦の上では初秋です。それでも、いとわしい蚊を退治する日は続きそうですが。ここはひとつ、小さな蚊ごときに腹を立てずに、同じ生き物同士として自然に寄り添う大きく広い心持ちで、残りの夏を過ごしてみたいものです。

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■撮影者:ビーバーさん
■撮影日:2014/7/17
■カメラ:NIKON D610
■レンズ:Ai Nikkor 50mm f/1.2S
■SP:1/1600秒
■絞り:F/2.8
■感度:ISO-400
■露出補正:-0.3ステップ
■WB:AUTO
■撮影地:東京都千代田区神田神保町
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■記事公開日:2014/07/28
▼編集部=構成 ▼編集部ライター・渡部恒雄=文 ▼ビーバーさん=撮影

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