50才すぎて初トライ!挑戦ライター吉村高廣のチャレンジ・スポーツ 50才すぎて初トライ!挑戦ライター吉村高廣のチャレンジ・スポーツ

50才すぎて初トライ!挑戦ライター吉村高廣のチャレンジ・スポーツ

太極拳

2020年東京五輪の候補に挙がって注目された太極拳。正式には「武術太極拳」ということになるそうですが、これはあくまでも"型"の美しさを競い合うためアレンジされたものだそう。今回私がチャレンジしたのは、体の中に流れる"気"を強めて、体と心を整える伝統的な太極拳です。50歳を過ぎて「そろそろ何か運動を」と考える人も少なくないはず。でも「いきなり走ったりするのはちょっと」と考える方も多いのでは。その点「のんびり動く太極拳なら」と考える人もいるでしょう。最初は私もそう思って、余裕しゃくしゃくでしたが...太極拳をあなどっていました。さっそくその体験レポートをご覧ください。
体験に先立ち「そもそも太極拳とはどんなものか」について、今回のチャレンジでお世話になった全日本柔拳連盟渋谷駅前本部・財団法人日本太極拳協会の指導員・萩澤成彦さんにお話をうかがいました。ポイントは「正しい姿勢でゆっくり動き、呼吸を止めないこと」の2つ。この2つが上手く合いまった時に、気の流れが強まって血流が良くなり、体と心のバランスがとれていくのだと。つまり"気"というのは活力であり生命力でもある。
これが太極拳の基本的な考え方だと萩澤さんはおっしゃいます。
さっそく体験をスタート。今日は太極拳の基礎となる7つの動きを学びます。まずは『抜筋骨(ばっきんこつ』という準備運動のようなものから。この動きには腕や肩、足の関節をゆるめたり、背中の筋肉を伸ばしたりする効果があります。太極拳の型に入る前に、各部位をほぐしておくことで体がリラックスして気の流れを良くする狙いがあるそうです。

次いで『気功(きこう)』です。とても興味があります。古くはブルース・リーやジャッキー・チェンの映画の中でも、ヒーローたちはみな修行の時に気功を行い精神統一してました。ここでしっかり気功を学びビジネスという戦場で大いに役立てたいものです。(写真は抜筋骨の型)

気功は、先に行った抜筋骨とはセットで行う基本中の基本。太極拳における呼吸法の一種という印象でした。抜筋骨で体をリラックスさせて"気"を流れやすくしておいて、気功で体の内にある"気"の流れを強める準備をする。ゆっくりと呼吸をする。これを動きと同時に行います。いささか動きに硬さがあるものの、ここまではまだまだ楽勝。そしていよいよ太極拳の動きに入ります!
第一の型は『渾元椿(こんげんしょう)』。ここでは、太極拳の基本となる中腰の姿勢から、手足の動きが加わります。まずは姿勢を正してまっすぐ立ち、続いて片足を斜め前にゆっくり踏み出します。このとき大事なポイントは両足が並行であること。その上で、腰を落として完成です。(写真は抜筋骨の型)

ここで大事なのは、上体が前のめりにならないよう重心を後ろ足に残しておくこと。そこに気をとられていると、せっかく習った呼吸法が活かせぬばかりか、明らかにおかしな動きになってしまいます。う〜ん、難しい。
まだ序盤の型だというのに、すでにこのあたりから、ポーズがどうも怪しくなってきました(汗)。
混乱するままに次の型に進みます。『開太極(かいたいきょく)』といい、どうやらここから実質的な太極拳のスタートのようです。渾元椿はあくまでも、太極拳の基本の構えで、私たちが知っている「太極拳らしい動き」はここから。開太極では両手で円を描くような動作が加わり難易度が途端にアップ!しかもそれを途切れなく、流れるように行わなくてはなりません。もちろん呼吸も大事です。
ここで撮影をしていたカメラマンさんから「もうちょっと真面目にやってくださいよ」と苦言が飛んできました。「それじゃあまるでドジョウすくいです。画になりません」と。こっちは大真面目です!しかも中腰の姿勢がだんだん辛くなってきました。でもまだ、3つも型が残っています...。

次なる型は『上歩打擠(じょうほだせい)』。開太極の姿勢から、重心を後ろ足に残したまま片足を一歩前に進め、手を前に打ち出す型です。ここで難しいのは、重心を後ろに残して前に足を出すという、人間本来の体重移動とは反比例した動きです。
考えてみてください。普通に前に考えれば、前に手足を出せば上体も前に傾いてしまいます。そうならぬようゆっくりした動きを保ちながら手足だけを前に押し出していく。そこが太極拳ならではの在り様なのです。でも、ここまでくると、少しだけサマになってきた手応えがありました。

上歩打擠の流れから『右琵琶勢(みぎびわせい)』の型に移ります。まさしくこれは読んで字の通り、中国楽器の琵琶を右手に抱えたポーズ。あくまでもゆっくりと両手で大きな円をつくるように型を決めていきます。なかなか決まってきたんじゃないかなと思った途端、萩澤さんからご指摘が。
「どうも力が抜けませんね。でも最初は仕方ありません。ゆっくり動くことは思いのほか楽ではないのです。人間はゆっくり動こうとする逆に力んでしまうもの。吉村さんの場合、常に肩に力が入っているようです。同時に呼吸も止まっています。最後の型はリラックスしましょう」。修行の道は遠そうです。

そしていよいよ今日最後の型『攬雀尾(らんじゃくび)』です。力を抜いてバッチリ決めたいと思います。この型のいわれは、雀が羽を広げて砂浴びをしている様を表したもの。右琵琶勢の状態から、ゆっくりと両手を広げながら体を右側にひねります。ところが、ここからの動きが難易度が高い!わずか1時間ほどの体験にもかかわらず、普段の運動不足がたたって、足腰がプルプル震え、呼吸は乱れ、不覚にもそこから先は記憶にない有様です。

体験を終えて
太極拳を甘く見ていた。それが率直な感想です。取材前に見学させていただいた時、55歳の私より上と思われる方々(ご婦人も)がラクラク型を決めるのを見て「これなら少し習えばできるだろう」と思っていました。とんでもありません。太極拳はちょっと齧った程度ではマスターできるものではありません。でも、だからこそ面白い!健康であり続けたいと思う方ばかりでなく、仕事以外の何かに打ち込みたいと思われるビジネスパーソンにもピッタリのスポーツ。それが太極拳でした。(挑戦ライター吉村談)

指導員 萩澤成彦さんから

太極拳は武術です。だからこそ最初のうちは少し大変に思われる方もいるでしょうが、経験を積み重ねていけば確実に体も心も変わっていくはずです。老若男女を問わず、多くの会員さんがいらっしゃいますが、皆さん確かな手応えを感じていらっしゃることがよく分かります。そして楽しんでおられます。敷居の高いものと考えずに、ぜひ気軽に体験にお越しください。

取材ご協力

全日本柔拳連盟渋谷駅前本部
〒150-0002東京都渋谷区渋谷3-21-11-1F
http://www.rockyclimbing.com
■記事公開日:2017/02/06 ■記事取材日: 2017/01/23 *記事内容は取材当日の情報です
▼編集部=監修・構成 ▼編集部ライター・吉村高廣=文 ▼田尻光久=撮影 ▼編集部ライター・吉村高廣=体験者

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